社会科学:アフリカにおける宗教と教育の流動性
Nature 618, 7963 doi: 10.1038/s41586-023-06051-2
アフリカの人々や指導者たちは長年にわたり、教育を発展と解放の原動力であると見なしており、国際機関も同様の見解をしている。それは学校教育が、特に低所得状況では、経済的および非経済的に大きな利益をもたらすためである。本研究で我々は、キリスト教とイスラム教の世界最大級のコミュニティーがいくつか存在する、植民地から独立後のアフリカ全体で、教育の改善状況を宗教を超えて横断的に調べた。我々は、21カ国の2286地域での国勢調査データを用い、教育における世代間流動性について総合的な宗教特異的評価尺度を構築し、以下のことを明らかにした。第一に、キリスト教徒では、伝統主義者やイスラム教徒よりも高い流動性が見られた。第二に、キリスト教徒とイスラム教徒の間での世代間の流動性の違いは、同じ地域に居住し、同等の経済的および家族的背景を持つ世帯でも依然として存在していた。第三に、イスラム教徒は若いうちに流動性の高い地域に移住すれば、キリスト教徒と同様の恩恵を得られるが、彼らが移住する可能性は低い。イスラム教徒は平均して、都市化の遅れたインフラ整備が進んでいない遠隔地に住んでいるため、内部流動性の低さによって教育的な不利が一段と強まっている。第四に、キリスト教徒とイスラム教徒の格差は、大規模なイスラム教徒コミュニティーがある地域で最も顕著であり、そうした地域ではイスラム教徒の移住率は最も低い。アフリカ各国の政府や国際機関が、教育プログラムに多額の投資を行っているので、我々の知見は、宗教的に分離されたコミュニティーにおいて、宗教を超えた横断的な学校教育に対する個人的な利益と社会的利益をより深く理解し、教育政策を採用する際の宗教的不均衡について注意深く考える必要性をはっきりと示している。

