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化学物理学:シンクロトロンX線を用いたわずか原子1個の特性評価
Nature 618, 7963 doi: 10.1038/s41586-023-06011-w
レントゲンによる1895年のX線発見以来、医療や環境への応用から材料科学まで、X線は至る所で使用されるようになっている。X線による特性評価には多数の原子が必要であり、物質量を減らすことが長年の目標となっている。今回我々は、X線を用いて、わずか1個の原子の元素状態や化学状態を評価できることを示す。特殊な探針を検出器として用いることによって、有機配位子に配位した1個の鉄原子や1個のテルビウム原子から生じたX線励起電流が検出された。得られたX線吸収スペクトルには、単一原子の「指紋」である鉄のL2,3吸収端シグナルとテルビウムのM4,5吸収端シグナルがはっきりと観察された。これらの原子の化学状態はX線吸収端近傍の吸収シグナルによって評価され、鉄原子では、X線励起共鳴トンネリング(X-ERT)が支配的であることが分かった。X線シグナルは、探針が極めて近接して原子直上に位置しているときのみ検知できるため、トンネリング領域における原子レベルで局所的な検出が裏付けられた。今回の研究は、シンクロトロンX線と量子トンネリング過程を結び付けるとともに、単一原子極限における物質の元素特性と化学特性を同時に評価する将来のX線実験の機会を開くものである。

