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生化学:RNAのコンホメーションが持つ性質が細胞活動を決定する
Nature 617, 7962 doi: 10.1038/s41586-023-06080-x
細胞で起こるさまざまな過程は生体分子間の相互作用の産物であり、生体分子は集合して生物学的に活性な複合体を形成する。このような相互作用は分子間の接触を介して起こるので、もしもそれが破壊されれば、細胞の生理学的性質の変化につながる。にもかかわらず、分子間の接触が形成されるためには、相互作用する生体分子のコンホメーション変化が、ほぼ例外なく必要とされる。そのため、結合親和性と細胞活動は、分子間接触の強度と、結合可能なコンホメーション状態になる本来的な傾向の両方に非常に大きく依存する。従って、コンホメーションに伴う不利益は生物学では広く見られ、タンパク質と核酸の相互作用の結合エネルギーを定量的にモデル化するためにはこれを知っておく必要がある。しかし、コンホメーションが持つ性質が細胞活動にどのように影響するかを解析し、定量的に測定する能力は、これまで概念上の限界や技術的な制約に妨げられてきた。今回我々は、HIV-1のTAR RNAについて、タンパク質が結合したコンホメーションを系統立てて変化させ、そうしたコンホメーションを形成する傾向を測定した。得られた傾向から、Tatタンパク質のRNA結合領域に対するTARの結合親和性が定量的に予測され、HIV-1のTatに依存したトランス活性化が細胞でどの程度起こるかを予測できた。今回の結果によって、コンホメーションの集団ベースの傾向が細胞活動に果たしている役割が明確になり、RNAの非常に希少で短命なコンホメーション状態によって駆動される細胞過程の一例が明らかになった。

