構造生物学:ヒトのスプライシングにおける触媒活性化の構造基盤
Nature 617, 7962 doi: 10.1038/s41586-023-06049-w
mRNA前駆体のスプライシングは、ATP依存性RNAヘリカーゼにより駆動される経路をたどって行われる。スプライシング経路の重要な事象の1つが触媒活性化で、これは活性化型Bactスプライソソームと分岐能を持つB*スプライソソーム間の移行の際に起こる。触媒活性化は、ヘリカーゼPRP2(別名DHX16)により媒介されるATP依存的リモデリングを介して起こる。しかし、PRP2はスプライソソームの周辺部でのみ観察されるため、その機能はよく分かっていない。今回我々は、触媒的活性化がATP依存性の2つの段階で起こり、2種類のヘリカーゼ、PRP2とAquariusによってそれぞれ駆動されることを示す。スプライシングでのAquariusの役割はこれまで解明されていなかった。Aquariusの不活性化は、触媒的活性化過程の途中で見られるスプライソソーム中間体であるBAQR複合体の一時停止を引き起こす。BAQRのクライオ電子顕微鏡構造から、PRP2とAquariusがBactとBAQRをそれぞれリモデリングする仕組みが明らかになった。PRP2はイントロンに沿って移動しながらRES複合体を取り除き、SF3B1クランプを開いて、分岐したヘリックスをほどいていく。移動は、分岐部位の6ヌクレオチド下流でPPIL4とSKIP、それにPRP2アミノ末端ドメインの集合により終結する。次いで、AquariusによりPRP2、それにSF3A–SF3B複合体の分離が可能になり、これが触媒のための分岐二本鎖の再配置を促進する。この研究によって、ヒトでのスプライシングにおける触媒活性化が解明され、DEAHヘリカーゼがどのように動作するかが明らかになり、ヘリカーゼがそれらの活性を調節可能となる仕組みの基本的枠組みが示された。

