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細胞生物学:リン酸を感知する細胞小器官はリン酸および組織の恒常性を調節する

Nature 617, 7962 doi: 10.1038/s41586-023-06039-y

無機リン酸(Pi)は生命に不可欠な分子の1つである。しかし、動物組織の細胞内で行われるPi代謝やPiシグナル伝達については、ほとんど解明されていない。キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の消化器上皮では、慢性的なPi欠乏が過剰増殖を引き起こすという観察結果に続けて、今回我々は、Pi欠乏がPi輸送体であるPXoの下方調節を引き起こすことを明らかにする。Pi欠乏の場合と同様に、PXoの欠失は中腸の過剰増殖を引き起こした。免疫染色による解析と超微細構造解析から、PXoは非カノニカルな多重膜を持つ細胞小器官(PXo小体)を特徴付けていることが明らかになった。また、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)をベースとするPiセンサーを使ったPi画像化により、PXoが細胞質ゾル中のPiレベルを制限していることが分かった。PXo小体の新生にはPXoが必要であり、Piが欠乏するとPXo小体は分解される。PXo小体の性質をプロテオミクスやリピドミクスの手法を用いて調べることにより、これが細胞内のPiの貯蔵場所として持つ独特な性質が明らかになった。従って、Pi欠乏は細胞質ゾル中のPiを増やすための代償機構として、PXoの下方調節とPXo小体の分解を引き起こす。さらに我々は、STRIPAK複合体とJNKシグナル伝達の成分の1つであるCka(connector of kinase to AP-1)が、PXoノックダウン、もしくはPi欠乏が誘発する過剰増殖のメディエーターであることを明らかにした。これらの知見を総合することにより、PXo小体が細胞質ゾル中のPiレベルの重要な調節因子であることが明らかになり、組織の恒常性を制御しているPi依存性のPXo–Cka–JNKシグナル伝達カスケードが見つかった。

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