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遺伝学:GWASとメタ解析で特定された、重篤なCOVID-19の根底にある49の遺伝的バリアント

Nature 617, 7962 doi: 10.1038/s41586-023-06034-3

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における重篤な疾患は、極端で臨床的に均一な疾患表現型であり、我々は以前、この表現型が遺伝的関連の発見において非常に効率的であることを示した。重篤なCOVID-19患者は診察時に疾患が進行した段階にあるが、こうした患者の宿主遺伝学的性質から、この患者群に高い有効性を示す免疫調節療法を特定できることが示されている。今回我々は、重篤なCOVID-19の2万4202症例について解析を行った。これには、国際的なGenOMICC研究(1万1440症例)の重篤疾患症例と、重症や重篤な疾患の入院患者を重点的に募集した他の研究であるISARIC4C(676症例)およびSCOURGEコンソーシアム(5934症例)を組み合わせた、マイクロアレイ遺伝子型と全ゲノム塩基配列解読データが含まれている。これらの結果を既存の研究の文脈に組み入れるため、我々は、新たに得られたGenOMICCゲノム規模関連解析(GWAS)の結果と、既報のデータのメタ解析を行った。その結果、ゲノム規模の有意な関連が49見つかり、そのうち16はこれまでに報告されていないものだった。これらの知見の治療との関わりを調べるため、我々は、タンパク質コードバリアントの構造的影響を推定し、得られたGWASの結果を、単球のトランスクリプトーム規模関連解析(TWAS)モデルを用いて遺伝子発現データと、さらにメンデル無作為化を用いて遺伝子とタンパク質の発現と組み合わせた。その結果、炎症性シグナル伝達(JAK1)、単球–マクロファージの活性化および内皮透過性(PDE4A)、免疫代謝(SLC2A5およびAK5)、ウイルスの侵入と複製に必要な宿主因子(TMPRSS2およびRAB2A)など、複数の系においてドラッガブルである可能性のある標的が特定された。

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