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計測学:229Th原子核時計アイソマーの放射性崩壊の観測
Nature 617, 7962 doi: 10.1038/s41586-023-05894-z
放射性核種トリウム229は、励起エネルギーが極めて低いアイソマーが存在することが特徴であり、このアイソマーによって核状態をレーザーによって直接操作できる。この核種は、次世代光時計で用いられる有力候補の1つである。この核時計は、基礎物理学の精密検証にとって独特ツールになると思われる。こうした特異な核状態が存在することを示す間接的証拠が実験によって得られてからかなりたつが、内部電子転換を通したアイソマーの崩壊を観測することによって、その存在が立証されたのはつい最近である。このアイソマーの励起エネルギー、核スピン、電磁モーメント、電子転換の寿命、精密なアイソマーエネルギーが測定されている。近年の進展にもかかわらず、原子核時計の開発に重要な要素であるアイソマーの放射性崩壊は、まだ観測されていなかった。今回我々は、トリウム229の低エネルギーアイソマー(229mTh)の放射性崩壊を検出したことを報告する。CERNのISOLDE施設で、バンドギャップが大きいCaF2結晶とMgF2結晶に組み込まれた229mThの真空紫外分光を行うことによって、8.338(24) eVの光子が測定された。これは最近の測定結果と一致しており、不確かさは7分の1に減少している。MgF2に組み込まれた229mThの半減期は、670(102)秒と決定された。バンドギャップが大きい結晶における放射性崩壊の観測は、将来の原子核時計の設計に重要な影響をもたらすものであり、エネルギーの不確かさが改善されたことで、原子核の直接レーザー励起の探索が容易になる。

