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構造生物学:光合成による酸素発生の電子–プロトンボトルネック
Nature 617, 7961 doi: 10.1038/s41586-023-06008-5
光合成は太陽エネルギーを化学エネルギーの形で貯蔵することにより、地球上の生命にエネルギーを供給している。酸素を豊富に含む現在の大気は、光合成の際に光合成系IIのタンパク質が結合したマンガンクラスターで水が分解された結果として生じたものである。分子状酸素(O2)の発生は4つの正孔が蓄積した状態、すなわちS4状態から始まると提唱されたのはほぼ50年前だが、その詳細はいまだにほとんど分かっていない。今回我々は、光合成によるO2発生というこの重要な段階を解明し、その極めて重要な機構的役割を明らかにした。我々はまず、暗順応させた光化学系の23万回の励起サイクルを、マイクロ秒赤外分光法で追跡した。そして、その結果を計算化学と組み合わせることにより、重要なプロトン空孔は、最初はゲート付き側鎖脱プロトン化を通して作られることが明らかになった。次いで、1個の電子と複数個のプロトンの移動現象の際に活性酸素ラジカルが形成される。これが光合成によるO2形成の最も遅い段階で、中程度の大きさのエネルギー障壁とエントロピーによる著しい遅延を伴っている。我々は、このS4状態が酸素ラジカル状態に当たることを明らかにする。この状態に続いて迅速にO–O結合が生じ、O2が遊離する。実験や計算研究でこれまでに得られたブレイクスルーと組み合わせると、光合成によるO2発生の原子レベルでの説得力のある構図が出現する。これらの結果は、出現以来、過去30億年にわたって変化がなかったと考えられる生物学的過程について新たな知見をもたらすもので、これは人為的な水分解系を知識に基づいて設計する助けになるものと我々は期待する。

