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電気化学:工業条件下におけるCO2によって媒介される有機触媒的塩素生成
Nature 617, 7961 doi: 10.1038/s41586-023-05886-z
19世紀から運用されてきた塩素アルカリ工程では、塩化ナトリウム溶液の電気分解によって、化学品製造に重要な塩素と水酸化ナトリウムを生成する。この工程はエネルギーを大量に消費し、世界の発電量の4%(約150 TWh)が塩素アルカリ工業にまわされるため、効率のわずかな向上であってもコストとエネルギーの大幅な削減を実現できる。この点で特に注目されているのが、要求の厳しい塩素発生反応である。この反応用の最先端の電極触媒は、いまだに、数十年前に開発された寸法安定アノードである。塩素生成反応用の新しい触媒がいくつか報告されているが、これらは、依然として主に貴金属で構成されたものである。今回我々は、アミド官能基を持つ有機触媒が、塩素生成反応を可能にすること、そして、CO2の存在下においてわずか89 mVの過電圧で電流密度10 kA m−2と選択性99.6%を達成でき、寸法安定アノードに匹敵することを示す。我々は、Cl2発生において重要な役割を果たし、Cl−電池や有機合成との関連でも役立つ可能性があるラジカル種形成を、アミド窒素へのCO2の可逆的結合が促進することを見いだした。有機触媒は、要求の厳しい電気化学応用向けには一般的に有望視されていないが、今回の研究は、有機触媒の幅広い可能性や、有機触媒がもたらす工業関連の新プロセス開発の機会や新しい電気化学的機構の探索の機会を実証している。

