Article
構造生物学:κオピオイド受容体でのリガンドとGタンパク質に対する選択性
Nature 617, 7960 doi: 10.1038/s41586-023-06030-7
κオピオイド受容体(KOR)は、疼痛だけでなく嗜癖や情動障害の治療において非常に望ましい治療標的である。しかし、KORを標的とする鎮痛剤の開発は、KORと関連付けられている幻覚誘発性副作用によって妨げられてきた。KORシグナル伝達の開始には、標準的なサブタイプ(Gi1、Gi2、Gi3、GoAおよびGoB)と、非標準的なサブタイプ(GzおよびGg)を含むGi/oファミリータンパク質が必要である。幻覚剤がKORを介してその作用を及ぼす機構や、KORがGタンパク質サブタイプの選択性を決定する機構についてはよく分かっていない。今回我々は、クライオ電子顕微鏡法を用いて、複数のGタンパク質ヘテロ三量体、すなわちGi1、GoA、GzおよびGgと複合体を形成しているKORの活性状態の構造を決定した。KOR–Gタンパク質複合体は、幻覚剤サルビノリン、もしくは非常に選択性の強いKORアゴニストと結合している。このような構造の比較から、KORとGタンパク質の相互作用の重要な決定因子である分子に加えて、Gi/oファミリーサブタイプに対する選択性やKORリガンド選択性を支配している重要なエレメントが明らかになった。さらに、Gタンパク質の4つのサブタイプは、KORでのアゴニスト結合に対して本質的に異なる結合親和性とアロステリック活性を示す。これらの結果は、KORでのオピオイドの作用とGタンパク質共役選択性への知見をもたらし、KORの経路選択的なアゴニストの治療的有効性を調べる基盤を確立するものである。

