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構造生物学:ヒト腸内のcrassvirusの構造アトラス

Nature 617, 7960 doi: 10.1038/s41586-023-06019-2

Crassvirales目に属するCrAssphageとそれに近縁のウイルス(以下、まとめてcrassvirusと呼ぶ)が最初に発見されたのは、メタゲノム配列のクロスアセンブリー(cross-assembly)によってであった。crassvirusはヒト腸内で最も存在数の多いウイルスであり、ヒト腸ウイロームの大多数で見つかっていて、一部のヒトではウイルス配列の最大95%に達する場合もある。crassvirusはヒトマイクロバイオームの組成や機能を形作る上で大きな役割を果たしている可能性が高いが、ウイルスがコードしているタンパク質の大半は構造も役割も不明であり、バイオインフォマティクス解析によって一般的な予測がなされているだけである。本論文で我々は、腸内細菌Bacteroides intestinalisのウイルスΦcrAss001をクライオ電子顕微鏡法で再構成し、そのウイルス粒子タンパク質のほとんどについて、機能割り当てを明らかにするための構造基盤を提供する。口輪に似た形状のmuzzleタンパク質は尾部の末端に大きさ約1 MDaの集合体を形成しており、これまで知られていなかった折りたたみ構造をとっていて、我々はこれを「crass fold」と命名した。この構造はゲートキーパーの役割を果たし、積み荷の放出を制御しているらしい。ΦcrAss001のウイルス粒子は、約103 kbのウイルスDNAを包含しているのに加えて、ウイルスがコードする積み荷タンパク質を大量に貯蔵する空間を、キャプシド内部だけでなく、異例なことだが尾部内にも備えている。積み荷タンパク質の1つはキャプシド内と尾部の両方に存在していて、タンパク質を尾部から押し出す際にその一部がほどけるというタンパク質放出の一般的機構が考えられる。これらの知見は、非常に大量に存在するcrassvirusの組み立て機構や感染機構を構造から解明するための基盤となるだろう。

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