計算生物学:学習した表面フィンガープリントを使ってタンパク質相互作用をde novo設計する
Nature 617, 7959 doi: 10.1038/s41586-023-05993-x
タンパク質とタンパク質の間で生じる物理的な相互作用は、生命を支配する生物学過程のほとんどで極めて重要な働きをしている。しかし、こういった相互作用の分子レベルでの決定因子は、ゲノミクスやプロテオミクス、構造に関するデータが増えてきても、まだ解明が難しい。このような知識のギャップが、細胞のタンパク質–タンパク質相互作用ネットワークの包括的な解明、および合成生物学やトランスレーショナルな応用に不可欠なタンパク質結合分子のde novo設計の大きな障害になっている。今回我々は、タンパク質表面で働く幾何学的深層学習フレームワークを使って、タンパク質–タンパク質相互作用が生じるために極めて重要な幾何学的性質と化学的性質を示すフィンガープリントを生成させた。これらのフィンガープリントは分子認識の重要な特徴を捉えており、新規なタンパク質相互作用をコンピュテーショナルデザインする際の新たな枠組みになると、我々は想定した。その原理証明として、我々は、4種類の標的タンパク質(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2〔SARS-CoV-2〕スパイクタンパク質、PD-1、PD-L1、CTLA-4)に結合する複数のde novoタンパク質のコンピュテーショナルデザインを行った。いくつかのデザインについては実験によって最適化したが、それ以外は完全にin silicoで生成させてナノモルレベルの親和性を達成し、構造解析や変異導入によって性質を詳しく調べたところ、予測が非常に正確であることが分かった。これらを総合すると、表面を中心に置くこの設計方法によって、分子認識の物理的および化学的決定因子を捉えることができ、タンパク質相互作用や、おおまかに言えば、「機能を備えた人工タンパク質」のde novo設計が可能になる。

