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気候科学:浮力によって駆動される1日当たり数百メートルの急速な氷床後退
Nature 617, 7959 doi: 10.1038/s41586-023-05876-1
氷床接地線の後退速度は、退氷した地域の海底にある波状の隆起の間隔から定量的に求めることができ、人工衛星による約50年間の氷床変化の記録の長期的な背景が得られている。しかし、こうした地形の数少ない既存の例は、海底の狭い地域に限定されており、接地線後退、ひいては海水準上昇の将来の速度の解明を制限している。今回我々は、海底地形データを用いて、ノルウェー中部の大陸棚の3万km2にわたって7600以上の波状隆起をマッピングした。得られた隆起の間隔は、急速な接地線の後退が律動的に起こり、その速度は1日当たり55〜610 mで、最終退氷期に低勾配(±1°)の氷床底面にわたって生じたことを示している。こうした値は、人工衛星記録や海洋地質学的記録によってこれまでに報告された全ての接地線後退速度よりもはるかに大きい。最大の後退速度は、かつての海底が最も平らだった地域で測定されており、これは、接地線が完全な浮力に近い所でほぼ瞬間的に氷床が海底から離れ、後退が生じ得ることを示唆している。静水圧の原理は、現在の気候強制の下でも、同様に急速な接地線の律動的な後退が、南極の低勾配の氷床底で起こる可能性があることを示している。最終的に今回の結果は、浮力が駆動する極めて急速な律動的な後退に対する、氷床の底面が平らな地域の見過ごされることの多い脆弱性を浮き彫りにしている。

