Article
生物物理学:Smc5/6複合体はDNAループ押し出しモーターである
Nature 616, 7958 doi: 10.1038/s41586-023-05963-3
染色体構造維持(SMC)タンパク質複合体は、染色体の空間構造に必須である。コヒーシンとコンデンシンがDNAループの押し出しによって染色体の構造を整える一方で、第三の真核生物SMC複合体であるSmc5/6分子の機能はほとんど分かっていない。我々は単一分子画像化法を用いて、Smc5/6が押し出しによりDNAループを形成することを明らかにした。ATP加水分解が起こると、Smc5/6は1秒当たり1000塩基の力依存性速度でDNAを対称的にたぐり寄せてループの形にしていく。Smc5/6は二量体となってループを押し出すが、単量体Smc5/6はDNAに沿って一方向へと移動していく。また、サブユニットNse5とNse6(Nse5/6)が、ループ押し出しの負の調節因子として働くことが分かった。Nse5/6は、Smc5/6の二量体形成を妨げることでループ押し出しの開始を阻害するが、進行中のループ押し出しには影響を及ぼさない。我々の得た知見により、Smc5/6の機能が分子レベルで明らかになり、DNAループ押し出しが真核生物SMC複合体にわたって保存された機構であることが確認された。

