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腫瘍生物学:乳酸は分裂後期促進複合体を再構築して細胞周期を調節する

Nature 616, 7958 doi: 10.1038/s41586-023-05939-3

急速に分裂中の細胞では、増殖を支えるにはグルコース異化の亢進が必要であるため、乳酸が豊富に存在する。しかし、蓄積した乳酸が増殖状態に影響を及ぼすかどうかは分かっていない。今回我々は、系統的な方法を用いて、ヒトプロテオーム全体での乳酸依存的なタンパク質の調節を決定した。これらのデータから、蓄積した乳酸が分裂後期促進複合体(APC/C)を再構築することによって細胞周期を調節する機構が明らかになった。このようなAPC/Cの再構築は、SUMOプロテアーゼであるSENP1が、乳酸によって直接阻害されることで引き起こされる。我々は、蓄積した乳酸は、SENP1の活性部位内で亜鉛と複合体を形成することで、SENP1に結合し、これを阻害することを見いだした。乳酸によるSENP1の阻害は、APC4の2つの残基のSUMO化を安定化し、これがUBE2CのAPC/Cへの結合を促進する。ヒトの増殖性細胞では、この乳酸によるAPC/Cの直接的な調節が、細胞周期タンパク質の適切な時期の分解を促し、効率よく有糸分裂を終了させる。この機構は、乳酸の存在量が最大に達する有糸分裂開始時に始動する。このようにして、乳酸の蓄積は、栄養素が十分な増殖期にあるという結果を伝えて、APC/Cの適切な時期の開口、細胞分裂、増殖を刺激する。逆に、乳酸の蓄積が持続すると異常なAPC/Cの再構築が駆動され、細胞周期停止からの逸脱(mitotic slippage)によって抗有糸分裂薬を無効化し得る。まとめると、乳酸がタンパク質の機能を直接調節して、細胞周期と増殖を制御する生化学機構が判明した。

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