神経科学:アストロサイトとニューロンのサブプロテオームと強迫性障害の機構
Nature 616, 7958 doi: 10.1038/s41586-023-05927-7
アストロサイトとニューロンは、脳内で密接に相互作用している。アストロサイトとニューロンのプロテオームを特定することは、これらの細胞それぞれの生理や疾患への寄与を規定するタンパク質ネットワークを明らかにする上で不可欠である。今回我々は、細胞特異的およびサブ区画特異的な近位依存性ビオチン化を用いて、線条体のアストロサイトとニューロンのプロテオームをin vivoで調べた。我々は、アストロサイトとニューロンの細胞質区画と細胞膜区画を評価し、これらの細胞がシグナル伝達装置においてタンパク質レベルでどのように異なるかを見いだした。我々はまた、アストロサイトの終足や微細突起などの細胞内区画について分析し、それらのサブプロテオームと、極めて重要なアストロサイトのシグナル伝達や恒常性機能の分子基盤を明らかにした。重要なことに、強迫性障害(OCD)や反復行動と関連付けられているSAPAP3(Dlgap3にコードされている)が、線条体アストロサイトに高レベルで検出され、これがアストロサイトの特定のサブ区画に濃縮されて、アクチン細胞骨格の構築を調節していることが分かった。さらに、SAPAP3を欠失したOCDマウスモデルで、遺伝的救済実験を行動解析および分子評価と組み合わせることで、アストロサイトとニューロンのSAPAP3の、反復性の不安関連OCD様表現型に対する別個の寄与が明らかになった。我々のデータは、アストロサイトとニューロンが、タンパク質レベルとそれらの主要なシグナル伝達経路においてどのように異なるかを定義付けるものである。また、アストロサイトのサブプロテオームが、生理的なサブ区画間でどのように異なるか、そして、アストロサイトとニューロンのSAPAP3機構の両方がマウスのOCD表現型にどのように寄与するかも明らかにしている。今回のデータは、アストロサイトとニューロンの両方を標的とする治療戦略が、OCD、さらには他の脳障害にも有用になる可能性を示している。

