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遺伝学:加齢に関連した転写伸長の変化は寿命に影響する
Nature 616, 7958 doi: 10.1038/s41586-023-05922-y
生理学的恒常性は、転写やRNAスプライシングなどの細胞過程が障害される結果として、加齢の際に損なわれる。しかし、転写忠実度の喪失を引き起こす分子機構については、今のところよく分かっておらず、それを防ぐ方法も不明である。今回我々は、さまざまな生物(線虫、ショウジョウバエ、マウス、ラット、ヒト)での転写過程において、ゲノム規模での加齢関連変化のプロファイリングと解析を行った。転写伸長の平均速度(RNAポリメラーゼIIの速度)は、5種の動物全てで加齢に伴って増加した。これらの伸長速度の変化と同時に、スプライシングされていない転写産物の減少や、環状RNA形成の増加などのスプライシングの変化も観察された。2つの寿命延長介入である食餌制限とインスリン–IGFシグナル伝達の低下はどちらも、これらの加齢関連変化のほとんどを回復させた。RNAポリメラーゼIIの速度を低下させる遺伝子バリアントは、線虫とハエで寿命を延長した。同様に、ヒストン構成要素の過剰発現によりRNAポリメラーゼIIの速度を低下させて、ヌクレオソームポジショニングの加齢関連変化を抑制した場合も、ハエでは寿命が延長し、ヒト細胞では分裂能が増大した。我々の知見は、動物の加齢や寿命延長介入の根底にある基本的な分子機構を明らかにしており、実行可能な予防法を示唆している。

