気候科学:インドネシアの泥炭地の繊維用木材プランテーションにおける温室効果ガスの正味の収支
Nature 616, 7958 doi: 10.1038/s41586-023-05860-9
熱帯泥炭地では、その土壌と生物量(バイオマス)に膨大な量の炭素が保持されており、多くの炭素が循環している。気候と土地利用の変化は熱帯泥炭地と大気の間の温室効果ガス(GHG)交換量(フラックス)を変化させるが、この変化の大きさはよく分かっていない。今回我々は、インドネシア・スマトラ島の同じ地域の泥炭地に存在する、繊維用木材であるアカシアの一種Acacia crassicarpaのプランテーション、劣化した泥炭林、未攪乱の泥炭林において、2016年10月〜2022年5月に二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素の正味の生態系交換量を測定した。これらは、この地域における典型的な土地利用変化を表している。これによって、泥炭地のアカシアプランテーションにおける1回の栽培期間(約5年間)を通したGHGフラックスの収支を示すことができる。その結果、土地利用がより集約的であるにもかかわらず、アカシアプランテーションのGHG排出量は、平均的な地下水位(GWL)が同程度の劣化した泥炭林より少ないことが見いだされた。アカシアプランテーションにおける1回の栽培期間で平均した年間GHG排出量(35.2 ± 4.7 tCO2-eq ha−1 year−1、平均±標準偏差)は、未攪乱の泥炭林における放出量(20.3 ± 3.7 tCO2-eq ha−1 year−1)より約2倍多かったが、この土地利用(泥炭地のプランテーション)に対する気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のtier 1排出係数(EF)の半分に過ぎない。今回の結果は、熱帯泥炭地におけるGHG排出量の見積もりの不確かさを減らし、土地利用変化の影響を見積もるとともに、自然に基づく気候解決策として科学に基づく泥炭地管理の実施方法を開発するのに役立つ。

