がん:EBVがコードするEBNA1によるクラスター化した反復配列での染色体脆弱部位の切断
Nature 616, 7957 doi: 10.1038/s41586-023-05923-x
エプスタイン・バーウイルス(EBV)は発がん性のヘルペスウイルスで、リンパ球や上皮起源のいくつかのがんと関連付けられている。EBVはEBNA1をコードしており、EBNA1はEBVゲノムにおいて18塩基対のパリンドローム配列が20コピー含まれるクラスターに結合する。EBNA1はまた、宿主染色体に塩基配列非特異的な部位で結合し、これが、ウイルスの持続を可能にしている。今回我々は、EBNA1の塩基配列特異的なDNA結合ドメインが、ヒト染色体11q23の約21キロ塩基の領域にわたって存在する、EBV様の18塩基対の不完全なパリンドローム配列の縦列に反復したコピーのクラスターに結合することを示す。この反復性のEBNA1結合部位をin situで可視化したところ、本質的に脆弱なDNAの特徴である、有糸分裂染色体の異常な構造が複数明らかになった。我々は、EBNA1結合レベルの上昇が、11q23での用量依存的な切断を引き起こして、セントロメアを含む融合性断片や無動原体の遠位断片を生じ、これらが共に次の細胞周期で小核に誤分離されることを実証する。EBVが潜伏感染した細胞では、EBNA1量がわずか2倍上昇するだけで、11q23での切断を引き起こすのに十分であった。EBV関連上咽頭がんの全ゲノム塩基配列解読を調べたところ、構造バリアントが第11染色体に非常に多く見られることが明らかになった。EBVの存在はまた、38種類のがんの2439の腫瘍にわたって、第11染色体の再構成の増加と関連することも示された。我々の結果は、EBNA1に誘導される11q23での切断が第11染色体の構造変動の獲得を引き起こすという、EBVとゲノム不安定性の間のこれまで正しく評価されていなかった関連を明らかにしている。

