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化学生物学:ナノスケールの光近接依存性標識法を用いたクロマチン状態変化の追跡
Nature 616, 7957 doi: 10.1038/s41586-023-05914-y
生体分子間の相互作用は、あらゆる細胞過程の基盤にあり、最終的には細胞運命を制御している。変異や発現レベルの変化、あるいは外的刺激によって本来の相互作用が乱れると、細胞生理の変化が引き起こされ、疾患または治療効果のいずれかをもたらし得る。これらの相互作用のマッピングと、それらが刺激に応答する仕組みの解明が、多くの薬剤開発努力を生み出し、新たな治療標的やヒトの健康改善につながる。しかし、核の複雑な環境中でタンパク質間の相互作用を解明することは、それらの存在量が少なかったり、結合が一過性あるいは多価だったり、こうした相互作用を研究対象のタンパク質の結合表面を破壊せずに調べることのできる技術がなかったりするために、難しい課題である。今回我々は、改変したスプリットインテインを用いて、イリジウム(Ir)光増感剤を核内微小環境に痕跡なく取り込む方法を報告する。これらのIr触媒は、デクスター型エネルギー移動によりジアジリン基を活性化して、半径約10 nm以内に反応性カルベンを形成し、すぐ近くの微小環境中のタンパク質を架橋する(この過程をμMapと名付けた)ため、定量的ケモプロテオミクスを利用してこれを解析できる。我々は、このナノスケールの近接依存性標識法を使えば、がん関連変異の存在下や、小分子阻害剤での治療下でもインタラクトームの重大な変化を明らかにできることを示す。μMapは、核内のタンパク質間相互作用に関する基本的な理解を深めるとともに、その結果として学術界と産業界の両方でエピジェネティック創薬分野に大きな影響を与えると期待される。

