生化学:超らせんマッチングによるモジュール式ペプチド結合タンパク質のde novo設計
Nature 616, 7957 doi: 10.1038/s41586-023-05909-9
塩基配列特異的なペプチド結合タンパク質を設計する一般的な方法があれば、プロテオミクスや合成生物学に幅広く有用だろう。しかし、ペプチド結合タンパク質の設計は難しい課題である。それは、ほとんどのペプチドは単離された状態では決まった構造を持たず、また、ペプチド骨格に埋もれた極性基に対して水素結合を形成する必要があるからである。今回我々は、天然タンパク質や再改変されたタンパク質–ペプチド系に着想を得て、反復配列を持つペプチドに結合する、反復単位で構成されたタンパク質の設計を試みた。このとき、タンパク質の反復単位とペプチドの反復単位は1対1対応で結合するようにした。我々はまず、幾何学的ハッシングを用いて、タンパク質の骨格とペプチド結合配置(タンパク質側鎖とペプチド骨格の間に生じる二座の水素結合で代替可能なもの)を見いだした。次に、タンパク質の残りの配列部分を、折りたたみやペプチド結合に対して最適化した。このようにして、ポリプロリンIIコンホメーションをとった、6種類の異なるトリペプチド反復配列に結合する反復タンパク質が設計された。これらのタンパク質は極めて安定であり、in vitroおよび生細胞内で、標的とするトリペプチドの4〜6個の縦列反復配にナノモル濃度からピコモル濃度の親和性で結合した。結晶構造から、タンパク質とペプチドの相互作用の間に、タンパク質の側鎖からペプチド骨格へのはしご状の水素結合を含め、設計通りに反復した相互作用が形成されていることが明らかになった。個々の反復単位の結合境界面を再設計することで、反復のないペプチド配列や天然タンパク質の天然変性領域に対する特異性が実現可能である。

