Article
惑星科学:DARTミッションのキネティック・インパクトで生じた小惑星ディモルフォスへの運動量移行
Nature 616, 7957 doi: 10.1038/s41586-023-05878-z
NASAの二重小惑星進路変更実験(DART)ミッションは、惑星防衛実験として2022年9月26日23時14分(協定世界時)に連星小惑星ディディモス(小惑星番号65803)の衛星である小惑星ディモルフォスへのキネティック・インパクトを実施した。DARTは、惑星防衛に関連したサイズと速度スケールで、小惑星に対して行われた初めての超高速度衝突実験であり、キネティック・インパクトを小惑星の軌道変更手段として検証することを意図したものである。本論文で我々は、キネティック・インパクトによって小惑星に移行した運動量の決定について報告する。我々は、連星軌道周期の変化に基づいて、ディモルフォスの移動方向に沿う軌道速度成分が瞬時に2.70 ± 0.10 mm s−1減少したことを見いだした。これは、衝突によって生じた噴出物の流れの反動に起因する、運動量移行の増強を示している。ディモルフォスのバルク密度が1500〜3300 kg m−3の場合、運動量増強係数βの期待値は、ディモルフォスの質量に応じて2.2〜4.9の範囲であることが分かった。ディモルフォスとディディモスの密度が等しく2400 kg m−3であると仮定した場合、β = 3.61+0.19−0.25(1σ)となる。これらのβ値は、DARTで入射した運動量より、脱出する衝突噴出物からディモルフォスへ移行した運動量が大幅に大きいことを示している。従って、DARTのキネティック・インパクトは小惑星ディモルフォスの軌道を変更するのに非常に有効であった。

