Article

構造生物学:GSDMBのポア形成活性を調節するための構造学的機構

Nature 616, 7957 doi: 10.1038/s41586-023-05872-5

細胞傷害性リンパ球由来グランザイムA(GZMA)は、ガスダーミンファミリーのポア形成タンパク質であるGSDMBを切断して、標的細胞のピロトーシスを引き起こす。GSDMBと当初のガスダーミンファミリーの一員であるGSDMDの、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)ユビキチンリガーゼである病原性因子IpaH7.8による分解について報告されている結果には一貫性がない。IpaH7.8がGSDMBとGSDMDの両方を標的とするのかどうか、また、標的とする場合の仕組みについては明らかになっておらず、GSDMBのピロトーシス誘導機能さえ、最近は疑問視されている。今回我々は、IpaH7.8–GSDMB複合体の結晶構造を報告する。これによって、IpaH7.8がGSDMBのポア形成ドメインを認識する仕組みが明らかになった。また、IpaH7.8はヒトのGSDMDを同様の機構を介して標的とするが、マウスGSDMDは標的としないことが分かった。完全長GSDMBの構造から、GSDMBの自己阻害の程度は他のガスダーミンより強いことが示唆された。GSDMBには複数のスプライシングアイソフォームが存在し、これらはIpaH7.8により等しく標的とされるが、ピロトーシス誘導活性には顕著な差が見られる。アイソフォーム中のエキソン6の存在は、GSDMBのポアを形成するピロトーシス誘導活性に影響している。我々は、GSDMBが形成する27回対称構造のポアのクライオ電子顕微鏡構造を決定し、ポア形成を進めるコンホメーション変化を明らかにした。この構造によって、ポアを組み立てる際にエキソン6由来エレメントが必須の役割を果たすことが明らかになり、最近の研究で用いられた非カノニカルなスプライシングアイソフォームでピロトーシスが起こらないことが、これによって説明された。多様ながん細胞株はアイソフォーム構成が著しく異なっており、こうした構成はGZMA刺激後のピロトーシスの開始や範囲と相関している。我々の研究は、病原性細菌やmRNAスプライシングによるGSDMBポア形成活性の微調節を説明するものであり、その基盤となる構造学的機構を明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度