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進化学:ガンギエイのゲノムと翼状の鰭の進化的出現
Nature 616, 7957 doi: 10.1038/s41586-023-05868-1
軟骨魚類であるガンギエイ類は、ボディープランに大きな翼状の胸鰭という特徴があり、それが水底環境への適応を可能にしている。しかし、この独特な形質の分子基盤は、いまだ明らかにされていない。今回我々は、ガンギエイの一種Leucoraja erinaceaをゲノム研究に利用可能なモデルとして開発することにより、この表現型的新機軸の起源を調べた。L.erinaceaの高品質な染色体規模のゲノム塩基配列を解析した結果、他の種の塩基配列が解読済みのゲノムと比較して、多数の古い小染色体など、祖先的な有顎脊椎動物の特徴が数多く保存されていることが明らかになった。ゲノム比較を、発生中の鰭における大規模な遺伝子発現調節データセット(遺伝子発現、クロマチン構造、三次元コンホメーションなど)と組み合わせることにより、平面内細胞極性(PCP)経路に関与する遺伝子の三次元遺伝子発現調節構造を変化させる、ガンギエイ特異的なゲノム再配列が見いだされた。PCPシグナル伝達の機能を阻害すると、鰭の前部の小型化が生じ、この経路がエイ類の鰭の形態に大きく寄与していることが確認された。我々はまた、複数のhoxa遺伝子と相互作用する鰭特異的なエンハンサーも発見した。これは、胸鰭の前部におけるhox遺伝子発現の転用と一致しており、このエンハンサーが鰭の前部で転写を活性化する潜在能力が、ゼブラフィッシュのレポーターアッセイで裏付けられた。今回の知見は、ゲノムの再編成と遺伝子発現調節配列の変動が表現型の進化で担う中心的な役割を強調するとともに、謎めいた形質の分子的起源を明らかにしている。

