Article

無機化学:ランタノイドからのAm(VI)-ポリオキソメタレートの限外濾過分離

Nature 616, 7957 doi: 10.1038/s41586-023-05840-z

使用済み核燃料に存在するランタノイド(Ln)とアメリシウム(Am)の分配分離は、核エネルギーの持続可能な開発において重要な役割を担っている。熱力学的に安定なAm(III)イオンとLn(III)イオンは、イオン半径と配位化学がほぼ同じなので、こうした分配分離は極めて困難である。Am(III)をAm(VI)に酸化することによって、Ln(III)イオンと区別できるAmO22+イオンが生成されるため、原理的には分離が容易になる可能性がある。しかし、放射線分解生成物によるAm(VI)からAm(III)に戻る急速な還元や、溶媒抽出や固体抽出を含む従来の分離プロトコルに必要な有機試薬が、酸化還元に基づく実用的な分離を阻んでいる。今回我々は、硝酸媒体中で3価ランタノイドよりも6価アクチノイド(238U、237Np、242Pu、243Am)の選択的配位に適合する空孔部位を持つ、ナノスケールのポリオキソメタレート(POM)クラスターを報告する。このクラスターは、我々の知る限り、これまで観測された中で水性媒体中で最も安定なAm(VI)種である。市販の微細孔膜による、水和ランタノイドイオンからのナノスケールのAm(VI)-POMクラスターの限外濾過に基づく分離によって、有機成分を全く必要とせず、最小限のエネルギー投入しか必要としない高効率かつ高速のワンススルー型アメリシウム/ランタノイド分離戦略の開発が可能になる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度