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化学:水性媒体における鉄分子触媒による選択的なメタン酸化
Nature 616, 7957 doi: 10.1038/s41586-023-05821-2
化学原料として天然ガスを用いるには、アルカン成分、主としてメタンを効率的に酸化する必要がある。現在の工業プロセスでは、高温高圧下で水蒸気改質を用いてガス混合物を生成した後、さらにメタノールなどの生成物に変換している。分子状白金触媒を用いてもメタンはメタノールに変換されるが、メタン自体よりも初期酸化生成物の方が容易に酸化される過剰酸化のため、選択性は概して低い。今回我々は、疎水性キャビティーを持つ、N-ヘテロ環状カルベンが配位したFeII錯体が、水溶液から疎水性メタン基質を捕捉し、Fe中心による酸化の後、親水性メタノール生成物を放出して溶液中に戻すことを明らかにする。我々は、疎水性キャビティーのサイズを大きくするとこの効果が高まり、3時間のメタン酸化反応において触媒回転数5.0 × 102回およびメタノール選択性83%が達成されることを見いだした。水性媒体中でメタンの処理に起因する輸送の制約を克服できれば、今回のキャッチ・アンド・リリース戦略によって、天然に豊富に存在するアルカン資源を用いる効率的かつ選択的な手法が得られる。

