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発生生物学:妊娠初期の栄養膜発生の空間マルチオミクスマップ
Nature 616, 7955 doi: 10.1038/s41586-023-05869-0
ヒトの胎盤(胎児が作り出す胚体外器官)と脱落膜(子宮の粘膜層)の間の結び付きは、妊娠中の胎児に栄養を与え、胎児を保護するのに不可欠である。胎盤絨毛に由来する絨毛外栄養膜細胞(EVT)は脱落膜に浸潤し、母体の動脈を高伝導性の血管に変換する。妊娠初期に栄養膜浸潤や動脈変換に異常が起こると、妊娠高血圧腎症などのよく見られる妊娠中の異常の原因となる。今回我々は、子宮筋層を含む完全なヒト母体–胎児境界面の空間分解マルチオミクス単一細胞アトラスを作製し、これにより、栄養膜分化の全軌跡を明らかにできるようになった。我々はこの細胞マップを用いて、EVT浸潤に関わる可能性のある転写因子を推定し、これらが初代栄養膜オルガノイドや栄養膜幹細胞からのEVT分化のin vitroモデルで保存されていることを示す。我々は、栄養膜浸潤の最終的な細胞状態である胎盤床巨細胞(融合した多核EVT)と血管内EVT(母体動脈中で栓を形成する)のトランスクリプトームを明らかにした。また、栄養膜浸潤と胎盤床巨細胞の形成に関与する細胞間情報伝達事象を予測し、妊娠初期の動脈形質転換を仲介する間質EVTと血管内EVTという二重の役割をモデル化した。まとめると今回のデータは、着床後の栄養膜分化の包括的解析を提供するもので、これは妊娠初期のヒト胎盤の実験モデルを設計する上で役立てることができる。

