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構造生物学:真菌のβ-1,3-グルカンシンターゼFKS1の構造と作用機構に関する知見
Nature 616, 7955 doi: 10.1038/s41586-023-05856-5
膜組み込み型シンターゼFKSは、真菌細胞壁の中心成分であるβ-1,3-グルカンの生合成に関与している。FKSは、エキノカンジンやイブレキサファンゲルプなどの広く処方されている抗真菌薬の標的である。FKSの作用機構はいまだに不明であり、そのことがこの酵素を標的とするより効果的な医薬品の開発を妨げている。今回我々は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のFKS1とエキノカンジン耐性変異体であるFKS1(S643P)のクライオ電子顕微鏡構造を示す。これらの構造から、この酵素の細胞膜と細胞質の界面にある活性部位と膜二重層を横切るグルカンの移動経路が明らかになった。FKS1の構造には結合している複数の脂質と著しい膜のゆがみが見られ、FKS1と膜の活発な相互作用が考えられる。エキノカンジン耐性変異はFKS1のTM5–6とTM8に近い領域に集中していた。FKS1(S643P)の構造は、この領域の脂質の配置が変化していることを示しており、この変異体酵素の薬剤耐性機構を示唆している。この研究で明らかになったFKS1の構造、触媒機構、薬剤耐性変異に関する分子レベルの手掛かりによって、真菌のβ-1,3-グルカン生合成機構についての理解が進み、FKSを標的とする新しい抗真菌薬の開発に向けた基盤が確立された。

