遺伝学:マルチオミクス形質を予測するための遺伝的スコアのアトラス
Nature 616, 7955 doi: 10.1038/s41586-023-05844-9
オミクスのモダリティーを用いてありふれた疾患や形質の分子基盤を解明することがますます一般的になりつつある。しかし、マルチオミクス形質は遺伝的に予測できるため、マルチオミクスデータを持たない研究において非常に費用対効果が高く強力な解析が可能になる。今回我々は、血漿プロテオミクス(SomaScan、n = 3175;Olink、n = 4822)、血漿メタボロミクス(Metabolon HD4、n = 8153)、血清メタボロミクス(Nightingale、n = 3万7359)、全血のイルミナRNA塩基配列解読(n = 4136)についての広範なマルチオミクスデータを持つ大規模コホート(INTERVAL研究;参加者n = 5万)を調べ、機械学習を用いて、1万7227の分子形質(ボンフェローニ補正で有意に達する1万521形質を含む)について遺伝的スコアを訓練した。この遺伝的スコアの性能は、ヨーロッパ人系統、アジア人系統、アフリカ系アメリカ人系統のコホート全体での外部検証により評価された。さらに、これらのマルチオミクス遺伝的スコアの有用性は、生物学的経路の遺伝的制御を定量化することにより、また、英国バイオバンクのマルチオミクス合成データセットを生成して、フェノーム規模解析で疾患との関連を特定することにより示された。その結果、代謝における遺伝的機構や、カノニカル経路と疾患との関連(JAK–STATシグナル伝達と冠動脈アテローム性動脈硬化症など)についての一連の生物学的手掛かりがはっきりと示された。さらに我々は、全ての遺伝的スコアと検証結果への一般利用を促すと同時に、マルチオミクス遺伝的スコアの今後の拡張や強化のためのプラットフォームとなるポータル(https://www.omicspred.org/)を開発した。

