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分子生物学:ポリコーム抑制脱ユビキチン化酵素のH2AK119特異性の基盤
Nature 616, 7955 doi: 10.1038/s41586-023-05841-y
ポリコーム群のタンパク質複合体による遺伝子発現の抑制は、胚の発生と細胞タイプの指定を支配する基本的な機構である。ポリコーム抑制脱ユビキチン化酵素(PR-DUB)複合体は、ヌクレオソームのモノユビキチン化されたヒストンH2A K119(H2AK119ub1)からユビキチン部分を除去することで、ポリコーム抑制複合体1(PRC1)のユビキチンE3リガーゼ活性に対抗し、ポリコームタンパク質による正しい遺伝子サイレンシングを促し、活性な遺伝子をPRC1による想定外のサイレンシングから守っている。PR-DUBがこの複雑な生物学的機能を果たすには、H2AK119ub1を正確に標的とする必要があるが、PR-DUBはモノユビキチン化された遊離ヒストンやペプチド基質を無差別に脱ユビキチン化することもできるため、PR-DUBの優れたヌクレオソーム依存的基質特異性の基盤はまだ分かっていない。今回我々は、BAP1とASXL1からなるヒトPR-DUBが、クロマトソームと複合体を形成した状態のクライオ電子顕微鏡構造を報告する。我々は、ASXL1はユビキチン結合溝を形成する役割の他に、BAP1の正電荷を帯びたC末端伸長部をdyad(ヌクレオソームの中間点)に近いヌクレオソームDNAとヒストンH3–H4に結合させる働きをすることを発見した。さらに、BAP1の触媒ドメインの保存されたループ部分が、H2A–H2Bの酸性パッチ近くに位置することも分かった。この特徴的なヌクレオソーム結合様式が、H2AのC末端尾部をヌクレオソーム表面から引き離して、PR-DUBにH2AK119ub1特異性をもたらすのである。

