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化学:超低速イオン–分子反応において測定されたトンネリング

Nature 615, 7952 doi: 10.1038/s41586-023-05727-z

量子トンネル反応は、気相反応、表面拡散、液相化学を問わず、古典的経路がエネルギー的に禁制な化学において重要な役割を果たす。一般的に、そうしたトンネル反応は、量子動力学の高次元性を考えると理論的計算が困難であり、実験的に特定することも非常に難しい。しかし、水素系は、正確な第一原理計算が可能である。この方法で、水素分子と重水素アニオンの気相プロトン移動トンネル反応(H2 + D → H + HD)の速度が計算されているが、これまで、実験的検証が欠けていた。今回我々は、極低温22極イオントラップで行った、反応速度の高感度測定の結果について報告する。我々は、(5.2 ± 1.6) × 10−20 cm3 s−1という極めて小さい速度定数を観測した。この測定値は、量子トンネル計算の結果と一致しており、分子論の基準としての役割を果たすとともに、基本的な衝突過程の理解を深めるものである。高H2密度において観測された反応速度の線形スケーリングからのずれは、RFイオントラップにおけるこれまで観測されなかった加熱ダイナミクスに由来している可能性がある。

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