代謝:マクロファージのフマル酸ヒドラターゼはmtRNAを介したインターフェロン産生を抑制する
Nature 615, 7952 doi: 10.1038/s41586-023-05720-6
代謝の再配線は、マクロファージのエフェクター機能の基盤だが、関与する機構は完全には明らかにされていない。今回我々は、不偏メタボロミクスと安定同位体による追跡法を用いて、炎症性アスパラギン酸–アルギニノコハク酸シャントが、リポ多糖刺激後に誘導されることを示す。このシャントはまた、アルギニノコハク酸シンターゼ(ASS1)の発現上昇によって支持され、細胞質ゾル中のフマル酸レベルの増加や、フマル酸によるタンパク質のスクシネーション(succination)を誘導する。さらに、トリカルボン酸回路の酵素であるフマル酸ヒドラターゼ(FH)の薬理学的阻害や遺伝学的除去によって、細胞内フマル酸レベルが増加した。ミトコンドリア呼吸も抑制され、ミトコンドリア膜電位が上昇した。RNA塩基配列解読やプロテオミクス解析では、FH阻害による強力な炎症効果が実証された。注目すべきことに、急性のFH阻害は、インターロイキン10の発現を抑制し、これが腫瘍壊死因子の分泌増加につながるが、こうした効果はフマル酸エステルによって再現された。さらにFHの阻害は、ミトコンドリアRNA(mtRNA)の放出とRNAセンサーであるTLR7、RIG-I、MDA5の活性化によって引き起こされる機構を介してインターフェロンβ産生を増加させたが、フマル酸エステルではこうした増加は見られなかった。この効果は、長期的なリポ多糖刺激後にFHが抑制された場合、内因性に再現された。さらに全身性エリテマトーデス患者由来の細胞でもFHの抑制が見られたことから、ヒト疾患でこの過程が病因的な役割を持つ可能性が示された。よって、マクロファージでのサイトカインやインターフェロンの適切な応答を維持する上で、FHが防御的な役割を担っていることが明らかになった。

