Article
進化遺伝学:脊椎動物における生殖細胞系列の変異率の進化
Nature 615, 7951 doi: 10.1038/s41586-023-05752-y
生殖細胞系列の変異率は、ゲノム進化の速度を決定する一方、それ自体が進化するパラメーターでもある。しかし、変異率に関するこれまでの研究の大半は異なる方法論で単一の種に焦点を合わせたものであったため、その進化が何によって決定付けられるかについてはほとんど分かっていない。今回我々は、哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類からなる計68種の親仔トリオ(両親とその仔)151組について、ゲノム塩基配列を高いカバー率で解読し、それらを比較することで、異なる脊椎動物の生殖細胞系列の変異率を定量化した。その結果、世代当たりの変異率は種間で40倍異なり、哺乳類と鳥類では雌より雄で変異率が高いが、爬虫類と魚類ではそうした偏りは見られないことが分かった。種間のこうした変動に影響を及ぼす主要な生活史形質は、世代時間、成熟齢、種レベルの繁殖力であった。また、長期的な集団の有効な大きさが大きな種ほど、世代当たりの変異率が低くなる傾向があり、これは、浮動障壁仮説(drift barrier hypothesis)を裏付けている。より短い世代時間などの繁殖力形質が継続的に選択されてきた家畜化動物では、年間変異率が非常に高く、これは、変異率の進化における世代時間の重要性をさらに裏付けている。まとめると、系統に基づく変異率についての我々の比較解析の結果は、脊椎動物における変異率の進化に関する生態学的な手掛かりを示している。

