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物性物理学:Nドープ水素化ルテチウムにおける常温常圧近傍での超伝導の証拠
Nature 615, 7951 doi: 10.1038/s41586-023-05742-0
超伝導物質が示すゼロ電気抵抗は、常温常圧条件で存在するのなら、応用の可能性が非常に大きいと思われる。数十年に及ぶ集中的な研究努力にもかかわらず、そうした状態はまだ実現されていない。常圧では、銅酸化物が、最高で約133 Kという最も高い臨界超伝導転移温度(Tc)まで超伝導を示す物質種である。この10年間で、水素を主成分とする合金の高圧「化学的圧縮(chemical precompression)」が高温超伝導の探索を先導し、メガバールの圧力下で二元系水素化物において水の凝固点に近いTcが実証された。炭素質水素化硫黄などの三元系水素リッチ化合物は、さらに大きな化学空間を提供し、超伝導水素化物の特性を向上させる可能性がある。今回我々は、窒素ドープ水素化ルテチウムにおける超伝導の証拠について報告する。この化合物は、10 kbarで最高Tcが294 K、すなわち室温において常圧に近い圧力で超伝導を示す。この化合物を、高圧高温条件下で合成し、完全に回復できた後に、圧縮経路に沿ってその物質特性と超伝導特性を調べた。それらの特性には、印可磁場がある場合とない場合の温度依存性の抵抗、磁化(M)対磁場(H)曲線、交流磁化率と直流磁化率、熱容量測定が含まれる。X線回折(XRD)、エネルギー分散X線(EDX)、理論シミュレーションによって、合成した物質の化学量論に関する知見がいくつか得られた。しかし、この物質の超伝導状態を理解するさらなる取り組みにおいて、水素と窒素の正確な化学量論比とそれぞれの原子位置を決定するには、さらなる実験やシミュレーションを行う必要がある。

