免疫学:ダウン症候群における、サイトカイン、CD4 T細胞およびCD11c+ B細胞を介した自己免疫
Nature 615, 7951 doi: 10.1038/s41586-023-05736-y
ダウン症候群(DS)は心臓、神経認知、成長の障害を合併する。またDS患者は、重症な感染症の他、甲状腺炎や1型糖尿病、セリアック病、円形脱毛症などの自己免疫にもなりやすい。今回我々は、このような自己免疫感受性の根底にある機構を調べるため、DS患者の液性免疫および細胞性免疫の全体像をマッピングした。その結果、定常状態で22種類のサイトカインが持続的に(多くの場合、急性感染症患者のものを超えるレベルで)増加していることが明らかになり、CD4 T細胞での慢性的なIL-6シグナル伝達や、形質芽細胞およびCD11c+TbethighCD21low B細胞(Tbetは別名TBX21)の割合の上昇といった、基底状態での細胞の活性化が検出された。このサブセットは自己免疫を起こしやすい傾向が知られており、DSでは、非参照ヌクレオチドが少なくIGHV4-34の利用率が高い受容体といった、自己反応性が著しく高いという特徴が見られた。in vitroでは、ナイーブB細胞をDS患者の血漿中で、あるいはIL-6で活性化したT細胞と共に培養すると、それぞれ対照群の血漿あるいは無刺激のT細胞と比較して、形質芽細胞の分化が増加した。さらに、DS患者の血漿中に、消化管や膵臓、甲状腺、中枢神経系、免疫系自体を標的とする365種類の自己抗体が検出された。まとめるとこれらのデータは、DSにおける自己免疫になりやすい状態を明らかにし、DSでは定常状態でのサイトカイン異常、CD4 T細胞の過剰な活性化、そして進行性のB細胞の活性化が、いずれも免疫寛容の破綻に寄与することを示している。T細胞の活性化は、Jak阻害剤などの広範な免疫抑制剤だけでなく、IL-6を阻害する、より個別化した手法によっても解消されることが実証されたように、我々の知見は治療の道筋も開いている。

