Article

天体物理学:重水素に富んだ水が惑星形成円盤と彗星や原始星を結び付ける

Nature 615, 7951 doi: 10.1038/s41586-022-05676-z

水は、星や惑星の形成過程において基本的な分子であり、固体物質の成長の触媒や、円盤内での微惑星形成に不可欠である。しかし、水が約160 Kで昇華するため水の雪線半径は10 AU(天文単位)以下であり、円盤内の水の大半は塵粒子上に凍結していることから、原始惑星系円盤内の水の雪線の位置とHDO:H2O比は十分に評価されていない。太陽に類似した原始星V883 Ori(M* = 1.3 M)は降着バーストのさなかにあり、その光度は約200 Lに増加していて、これまでの観測では水の雪線が原始惑星系円盤の半径40~120 AUにあることが示唆されている。本論文で我々は、V883 Oriの円盤からの気相の水(HDOとH218O)を直接検出したことについて報告する。円盤赤道面の水の雪線半径は、太陽系のカイパーベルトと同程度のスケールの約80 AUであると測定され、半径約160 AUまで水が検出された。また、この円盤のHDO:H2O比は、(2.26 ± 0.63) × 10−3と測定された。この比率は、原始星エンベロープや彗星の水における比率と同程度であり、地球の海洋の比率より3.1σ大きい。我々は、円盤が星形成中の分子雲から水を直接受け継ぎ、この水が化学的に大きく変成することなく、彗星など大きな氷の天体に取り込まれると結論付ける。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度