神経科学:NPAS4–NuA4複合体はシナプスの活動をDNA修復に共役させる
Nature 614, 7949 doi: 10.1038/s41586-023-05711-7
神経活動は、適応回路のリモデリングに重要だが、有糸分裂後ニューロンの長寿命にわたるゲノム安定性に対して、生得的なリスクとなっている。ニューロンが、神経活動の活発な期間中に数十年にわたって、DNAに損傷を与える可能性のある刺激に耐えるのを可能にする、特化したゲノム保護機構を獲得しているかどうかは不明である。今回我々は、新たな種類のNuA4–TIP60クロマチン修飾因子が、活性化されたニューロンで、誘導性のニューロン特異的転写因子NPAS4の周囲に集合するという、活動依存的なDNA修復機構を見いだした。我々は、脳からこの複合体を精製し、この複合体がニューロンのトランスクリプトームと回路に対して、活動依存的な変化を誘発する機能を持つことを示す。活動によって誘導されるDNA二本鎖切断の全体像の特性を明らかにすることで、NPAS4–NuA4は反復的に損傷を受ける調節エレメントに結合し、追加のDNA修復装置を誘導して、DNA修復を促すことが明らかになった。NPAS4–NuA4が結合する遺伝子調節エレメントは、加齢依存的な体細胞変異の蓄積から部分的に保護されている。NPAS4–NuA4シグナル伝達の障害は、活動依存的転写応答の調節異常、ニューロン抑制に対する制御の喪失、ゲノム不安定化など、一連の細胞異常を引き起こし、これらは全て、最終的には個体寿命の短縮につながる。さらに、NuA4複合体のいくつかの構成要素の変異は、神経発達障害や自閉症スペクトラム障害を引き起こすことが報告されている。以上の結果をまとめると、神経活動をゲノム保護に直接共役させるニューロン特異的複合体が見つかり、その破壊は、発達障害、神経変性および老化に関与する可能性があることが明らかになった。

