計算生物学:深層学習によるルシフェラーゼのde novo設計
Nature 614, 7949 doi: 10.1038/s41586-023-05696-3
酵素のde novo設計では、目的とする反応を触媒すると予想される活性部位と基質結合ポケットを、これらが幾何学的にうまく収まるような天然の骨格に組み込むことが求められてきたが、適当なタンパク質構造がないことや、天然のタンパク質のアミノ酸配列と構造の関係が複雑なことが設計の制約となっていた。今回我々は、深層学習に基づく「タンパク質ファミリー規模のハルシネーション(family-wide hallucination)」という方法について報告する。この方法では、多様な形のポケットを含む膨大な数の理想的なタンパク質構造と、それらをコードするように設計された配列が得られる。我々は、このような骨格を使って、合成ルシフェリン基質であるジフェニルテラジンと2-デオキシコエレンテラジンの酸化的化学発光を選択的に触媒する人工ルシフェラーゼを設計した。設計した活性部位では、アルギニンのグアニジウム基が、高い形態的相補性を持つ結合ポケット中で反応中に生じる陰イオンに隣接する位置に配置される。2つのルシフェリン基質のどちらに対しても高い選択性を持つルシフェラーゼが、設計によって得られた。その中で最も活性が高かったものは、小型(13.9 kDa)で熱安定性の高い(融点が95°C以上)酵素で、ジフェニルテラジンに対する触媒効率(kcat/Km = 106 M−1 s−1)は天然のルシフェラーゼに匹敵するが、基質特異性はそれよりずっと高い。活性と特異性が高く、生物医学分野で応用範囲の広い生体触媒の創出は、計算による酵素設計の重要な中間目標の1つであり、我々の方法はルシフェラーゼをはじめとするさまざまな酵素の作成を可能にするだろう。

