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がん:TCAフラックスとATP産生は原発性固形腫瘍では遅いが、転移性腫瘍では遅くない
Nature 614, 7947 doi: 10.1038/s41586-022-05661-6
組織は2種類の経路からATPを取得しており、その1つは解糖系、もう1つは電子伝達系と共役したトリカルボン酸(TCA)回路である。哺乳類のエネルギーのほとんどはTCA代謝を介して産生される。しかし、腫瘍でのこれらの経路の絶対的な速度は明らかになっていない。今回我々は、トレーサーの注入法を最適化して、マウスの健常組織、Kras変異型固形腫瘍、転移性腫瘍および白血病において、解糖系とTCA回路の速度を測定した。次に、得られたこれら2つの経路の速度に基づいて、総ATP合成速度を計算した。その結果、TCA回路のフラックスは、調べた5つの原発性腫瘍モデル全てで抑制されており、乳がんの肺転移では同所性の原発性腫瘍と比べて増加していることが分かった。予想通り、腫瘍では解糖フラックスが正常組織に比べると増加していたが(ワールブルク効果)、この増加は、ATP産生に関して低いTCAフラックスを埋め合わせるには不十分である。従って、固形腫瘍は、広く考えられているように代謝亢進状態にあるのではなく、概して正常な場合より遅い速度でATPを産生している。マウスの膵臓がんでは、この組織の主要なエネルギーコストの1つであるタンパク質合成を下方調節することで、この状況に対応している。固形腫瘍が増殖するにつれて、がん細胞はエネルギー的にコストの高い組織特異的機能を捨てることで、ATP産生能が限られているにもかかわらず、抑制されない増殖を可能にしていると我々は考える。

