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生化学:小胞体膜での翻訳とタンパク質生合成の可視化

Nature 614, 7946 doi: 10.1038/s41586-022-05638-5

小胞体(ER)膜に存在する動的なリボソーム–トランスロコン複合体は、ヒトのプロテオームの大部分を作っている。この複合体は、新生タンパク質の合成、トランスロケーション、膜への挿入、N-グリコシル化、折りたたみ、ジスルフィド結合形成を支配している。この複合体装置の個々の成分は、単離した状態では高分解能で調べられているが、天然の膜内での相互作用についての知見は、いまだに限られている。今回我々は、クライオ電子線トモグラフィー、徹底的な分類、分子モデル構築を用いて、小胞体膜でのmRNA翻訳とタンパク質の成熟の様子を分子レベルの分解能で捉えた。さらに、非常に大量に存在するトランスロケーション前の古典的中間体が真核生物伸長因子1a(eEF1a)と結合して伸びたコンホメーションをとった際の構造を明らかにし、校正の間はGTPが加水分解されてもeEF1aがリボソームに結合したままでいる可能性を示した。小胞体膜では、シグナルペプチドを持つタンパク質あるいは複数回膜貫通タンパク質の合成を専門に行うさまざまな小胞体トランスロコン(どちらにもトランスロコン関連タンパク質複合体〔TRAP〕が存在する)に、それぞれ異なったポリソームが結合する。最も豊富にある小胞体トランスロコン変異体はタンパク質輸送チャネルSEC61、TRAP、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ複合体A(OSTA)からなるが、そのほぼ完全な原子モデルから、TRAPと他のトランスロコン成分との特異的な相互作用が明らかになった。OSTAには、化学量論的または準化学量論的補因子が結合しており、その中にはタンパク質イソメラーゼが含まれているらしいことが分かった。こうして、今回の研究によって、小胞体に結合したポリソームとそれに協調した下流のタンパク質装置が可視化された。

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