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量子物理学:極低温分子のスピン系におけるサイト分解相関の探索
Nature 614, 7946 doi: 10.1038/s41586-022-05558-4
構成要素が相互作用する人工量子系は、量子情報処理や、多体系物理における基本現象の説明において重要な役割を果たす。冷却技術やトラップ技術の目覚しい進歩に続いて、極低温極性分子の集団が、いくつかの有利な特性を兼ね備えた有望なプラットフォームとして浮上している。こうした特性には、コヒーレンス時間が長い多数の内部状態や、長距離の異方的な相互作用などがある。こうした特徴によって、トポロジカル超流動体、量子スピン液体、分数チャーン絶縁体、量子磁性体などの相関量子物質の興味深い相の探索が可能になるかもしれない。こうした相における相関を調べることは、それらの特性を理解するのに非常に重要であり、新しい実験手法の開発が必要とされている。今回我々は、量子気体顕微鏡を用いて、二次元光格子に閉じ込められた極性23Na87Rb分子の量子相関のサイト分解ダイナミクスを測定した。そして、この分子の2つの回転状態を用い、粒子が双極子相互作用するスピン1/2系を実現して、量子スピン交換模型を得た。我々は、空間的に等方的な相互作用と異方的な相互作用の両方について、平衡から外れたスピン系の熱化過程における相関の発展を調べた。さらに我々は、周期的なマイクロ波パルスを用いて、本来のスピン交換模型から操作されたスピン異方性ハイゼンベルク模型の相関ダイナミクスも調べた。これらの実験は、極低温分子の相互作用系の探索と制御の最前線を押し広げ、量子物質の新しい領域の探索や、量子計算や量子計測に役立つエンタングル状態の特性評価の可能性をもたらす。

