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素粒子物理学:反ニュートリノ–陽子散乱からの軸性ベクトル形状因子の測定
Nature 614, 7946 doi: 10.1038/s41586-022-05478-3
電子線を用いて陽子のサイズがゼロでないことを確立した実験のように、核子からの高エネルギー粒子の散乱によって、核子の構造を調べることができる。荷電レプトンを散乱プローブとして用いると、核子のベクトル形状因子に符号化されている電荷分布を測定できる。弱く相互作用したニュートリノの散乱によって、核子のベクトル形状因子と軸性ベクトル形状因子の両方を測定する機会が得られ、核子の構造を調べるさらなる補完的プローブとなる。核子遷移の軸性形状因子FAは、自由核子からのニュートリノ散乱νμn → μ−pとνμp → μ+nによって、負の4元運動量移行の2乗(Q2)の関数として測定することができる。これまで、FA(Q2)は、ニュートリノ–重水素散乱における束縛核子から導出されてきたが、これには不確かな核補正が必要である。今回我々は、我々の知る限りでは初めての、水素原子からのνμp → μ+n断面積の高統計測定について報告する。この測定では、MINERvA実験のプラスチックシンチレーター標的を用いて自由陽子標的からFAを導出し、核子の軸性電荷半径rAが0.73 ± 0.17 fmであると測定された。今回の反ニュートリノ–水素散乱によって、核理論補正を必要とせずに軸性形状因子を得ることができ、ますます精密化している格子量子色力学計算との直接比較が可能になる。さらに、今回の解析のために開発したツールと提示した結果は、弱セクターでの核子構造に対する我々の理解力を大幅に前進させるとともに、現在および将来のニュートリノ振動実験によってニュートリノ相互作用モデルをさらに絞り込むのにも役立つ。

