Article
健康科学:正常ヒト細胞タイプのDNAメチル化アトラス
Nature 613, 7943 doi: 10.1038/s41586-022-05580-6
DNAメチル化は遺伝子発現とクロマチン構造を統御する基本的なエピジェネティック標識であり、細胞アイデンティティーと発生過程を知るための窓となる。現在のデータセットは通常、メチル化部位の一部しか含んでおらず、また、培養で大きな変化を起こした細胞株や、不特定の細胞が混ざり合った組織に基づいて生成されていることが多い。今回我々は、高深度の全ゲノムバイサルファイト塩基配列解読に基づいたヒトのメチロームアトラスを報告する。このアトラスは、205の健康な組織試料からソーティングした39の細胞タイプの数千個の独特なマーカー全体について、断片レベルの解析を可能にする。同じ細胞タイプの同型培養では99.5%以上が同一であり、これは、細胞アイデンティティープログラムが環境の摂動に対してロバストであることを実証している。このアトラスに対する教師なしクラスタリングによって、組織発生の主要要素が再現され、胚発生以降も保持されているメチル化パターンが特定された。個々の細胞タイプに固有の非メチル化座位は、多くの場合、転写エンハンサー内に存在し、組織特異的転写調節因子のDNA結合部位を含んでいる。固有に過剰メチル化された座位はまれであり、CpGアイランドやポリコーム標的、CTCF結合部位を多く含んでおり、このことから、細胞タイプ特異的なクロマチンループの形成における新たな役割が示唆される。このアトラスは、遺伝子調節や疾患関連遺伝子バリアントを研究するための必須の情報資源であり、液体生検に使用する組織特異的バイオマーカー候補を豊富に提供している。

