微生物学:アスガルド類アーキアのアクチン細胞骨格と複雑な細胞構造
Nature 613, 7943 doi: 10.1038/s41586-022-05550-y
アスガルド類アーキアは、真核生物に既知で最も近縁な生物と考えられている。そのゲノムには数百もの真核生物に特徴的なタンパク質(ESP)が含まれており、このことから真核細胞の進化に関する一連の仮説が生まれた。ESPが精巧な細胞骨格や複雑な細胞構造の形成において果たす役割は仮定されているものの、まだ可視化はされていない。今回我々は、アスガルド門に属する「Candidatus Lokiarchaeum ossiferum」の高度に集積された培養物について報告する。このアーキアは、有機炭素源によって20°Cで嫌気的に増殖した。細胞は7~14日ごとに分裂して、密度は1 ml当たり最高で5 × 107個にまで達し、そのゲノムは以前培養された唯一のアスガルド株のものに比べてサイズが著しく大きい。このアーキアのタンパク質コード遺伝子のうち5%がESPであり、これには4つのアクチンホモログが含まれる。我々は、クライオ電子線トモグラフィーを用いて集積培養物を画像化し、Ca. L. ossiferum細胞を、そのリボソームの特徴的な拡張セグメントに基づいて特定した。これらの細胞は、球状の細胞体と、狭窄部の多い分岐した突起のネットワークを有する。また、細胞外被は、単層の膜と複雑な表面構造からなる。さらに、大規模な細胞骨格が、細胞体、突起、狭窄部の全体にわたって張り巡らされている。細胞骨格フィラメントのねじれた二本鎖構造は、Fアクチンのものと一致する。免疫染色からは、これらのフィラメントが、アスガルド類アーキアで最もよく保存されているESPの1つであるロキアクチン(Lokiactin)からなることが示された。我々は、アクチンに基づく複雑な細胞骨格が、最初の真核生物の出現に先行して存在し、精巧な細胞構造の足場を組むことによってアスガルド門の進化において極めて重要な特徴であったと提案する。

