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進化学:哺乳類における精子形成の分子進化

Nature 613, 7943 doi: 10.1038/s41586-022-05547-7

精巣は、精子形成によって配偶子を作り出しており、哺乳類では形態学的レベルでも分子レベルでも急速に進化するが、これはおそらく雄にかかる繁殖成功のための進化圧によるものである。しかし、哺乳類全体における個々の精子形成細胞タイプの分子進化の特徴については、いまだほとんど明らかになっていない。今回我々は、哺乳類の3つの主要系統(真獣類、有袋類、単孔類)と鳥類(進化的な外群)、そして7種の霊長類を含む計11種の精巣から得られた単一核トランスクリプトームデータの進化的解析を行った。その結果、精巣の急速な進化は、精子形成の後期段階における遺伝子発現変化、アミノ酸置換、新しい遺伝子の固定速度の加速によって駆動され、おそらく多面的な制約の減少、半数体の選択、転写が許容されるクロマチンによって促進されることが分かった。我々は、11種全てについて個々の遺伝子の時間的な発現変化と、祖先的な精子形成過程を制御する保存された発現プログラムを特定した。精原細胞(精子形成を促す生殖細胞)およびセルトリ細胞(体細胞性の支持細胞)で主に発現する遺伝子は、進化の間X染色体に蓄積しており、これはおそらく雄に有益な選択圧に起因すると考えられる。さらなる研究から、X染色体とY染色体を持つ精子細胞間でのトランスクリプトームの差異が特定され、また、減数分裂期の性染色体不活性化(MSCI)が単孔類でも起こることから、これが哺乳類の性染色体系に共通であることが明らかになった。従って、MSCIの根底にある、減数分裂期における非対合染色体サイレンシング(MSUC:meiotic silencing of unsynapsed chromatin)の機構は、哺乳類の祖先的特徴である。我々の研究は、精子形成とそれに関連する選択圧の分子進化を明らかにするもので、さまざまな哺乳類において精巣の生物学的性質を調べるための情報資源となる。

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