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発生生物学:ヒストンを介した修復の制限による父系DNA損傷の遺伝
Nature 613, 7943 doi: 10.1038/s41586-022-05544-w
父系の電離放射線曝露が、子孫における遺伝子の受け継ぎや疾病リスクに影響を及ぼす仕組みは、放射線生物学の長年にわたる疑問である。ヒトでは、受け継がれる変異の80%近くが父系生殖系列で生じるが、電離放射線曝露が世代を超えてもたらす効果については議論が分かれており、その機序も不明である。今回我々は、線虫の一種Caenorhabditis elegansの雌雄異体系統において、父系の電離放射線曝露は次世代以降の胚性致死につながるが、母系の曝露ではそうならないことを示す。放射線照射された雄の子孫では、DNA断片化や染色体再編成、異数性といった、さまざまなゲノム不安定性表現型が見られた。父系DNAの二本鎖切断は、母系由来の誤りがちなポリメラーゼθによる末端結結によって修復された。機構としては、ヒトヒストンH1.0のオルソログであるHIS-24あるいはヘテロクロマチンタンパク質HPL-1の枯渇によって、次世代以降の胚性致死がかなり有意に解消されることが判明した。HIS-24やHPL-1を除去すると、電離放射線照射されたP0雄に由来するF1世代の生殖系列でヒストン3リシン9のジメチル化が減少し、誤りのない相同組換え修復が可能になり、その結果F2世代の生存率が改善した。この研究によって、父系の電離放射線曝露が子孫の健康に及ぼす遺伝的影響の根底にある機序が明確になった。このような遺伝的影響は、ヒトの先天性疾患やがんの原因となり得る。

