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物性物理学:スピン–軌道近接効果を示す2層グラフェンにおける超伝導の増強
Nature 613, 7943 doi: 10.1038/s41586-022-05446-x
Bernal積層2層グラフェン(BLG)には、大きな垂直電場の存在下で、対称性の破れたいくつかの金属相の他に磁場誘起超伝導も示すという特徴がある。しかし、この超伝導状態はかなり脆弱で、狭い密度範囲でしか現れず、その最高臨界温度Tcは約30 mKである。今回我々は、BLG上に単層二セレン化タングステン(WSe2)を配置すると、クーパー対形成が異常な程度にまで促されることを示す。その際、超伝導がゼロ磁場で現れ、1桁高いTcを示し、8倍広い密度範囲にわたって生じる。我々は、BLG–WSe2における量子振動を電場とドーピングの関数としてマッピングすることによって、分極している常伝導状態の領域にわたって超伝導が現れ、4つのスピン–バレー・フレーバーのうち2つが主に分布していることを確認した。面内磁場測定によって、BLG–WSe2における超伝導は、臨界場がドーピングに著しく依存する場合があり、超伝導ドームの一端ではChandrasekhar–Clogston(パウリ)極限におおむね従うが、他端ではこの極限を明確に破ることがさらに明らかになった。また、超伝導は、垂直電場がBLGの正孔波動関数をWSe2に押しやる場合にのみ生じており、これは近接誘起(イジング)スピン–軌道結合が対形成の安定化において重要な役割を果たすことを示している。今回の結果は、ロバストかつ高度に調整可能で非常に清浄なグラフェン系超伝導体の設計への道を開く。

