Article

微生物学:海洋原核プランクトンの呼吸速度と存在量の分離

Nature 612, 7941 doi: 10.1038/s41586-022-05505-3

海洋と大気のCO2交換は、主として海洋微生物の光合成と呼吸のバランスによって決まる。海洋のプランクトン性の細菌やアーキア(原核プランクトン)は分類学的にも代謝的にも非常に多様であるにもかかわらず、地球規模の生物地球化学モデルでは通常、それらの呼吸の全体が一括して測定され「ブラックボックス」として扱われており、このことが、地球の炭素循環の仕組みを理解する妨げとなっている。今回我々は、個々の微生物細胞の表現型解析とゲノム塩基配列解読を統合的に行う技術を用いて、細胞特異的な呼吸速度には、原核プランクトンのさまざまな属の間で1000倍以上の違いがあることを示す。呼吸の大部分は、原核プランクトンの少数派(ロゼオバクター属〔Roseobacter〕のクラスターを含む)によって行われていることが分かった。一方、最も多く見られる系統の細胞(ペラジバクター属〔Pelagibacter〕とSAR86を含む)は極端に呼吸速度が低かった。呼吸速度と系統間の存在量の分離、ペラジバクター細胞とSAR86細胞でのプロテオロドプシン転写産物量の増加、SAR86の夜間の呼吸亢進は、プロテオロドプシンを利用した光栄養がおそらく原核プランクトンの重要なエネルギー源であり、それが成長効率を高めている可能性を示唆している。これらの知見は、原核プランクトンはエネルギー需要を満たすために、呼吸と植物プランクトン由来の有機炭素のCO2への再石灰化に依存しており、その成長は一般に考えられていたよりも遅く、系統間で違いがある可能性があることを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度