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化学:トンネリング・ゲートウェイを通した凝縮相異性化
Nature 612, 7941 doi: 10.1038/s41586-022-05451-0
量子力学的なトンネル現象によって、物質波のエネルギーよりも高い障壁を通り抜ける物質波の透過が説明される。トンネル現象は、粒子のドブロイ波長が障壁の厚さを超えるときに重要になる。質量が小さくなるにつれて波長が長くなるため、重い粒子よりも軽い粒子の方が、より効率的にトンネル現象を起こす。しかし、凝縮相化学においては、質量が大きくなるとトンネリング速度が大きくなる例が存在する。連続状態間の遷移を考える教科書的アプローチとは対照的に、凝縮相反応は、反応物と生成物の束縛状態間の遷移を伴う。今回、NaCl表面におけるCOの回転異性化について、同位体置換分子種に特異的なトンネリング速度の実験的測定で非単調な質量依存性を示すことによって、この概念的な差異が浮き彫りになっている。障壁以下の反応物状態と生成物状態の間で環境との相互作用を通して遷移が起こるとする、異性化の量子速度論が開発されている。特定の状態の対(ゲートウェイ)の場合にトンネリングは最も速く、その量子力学的詳細が、障壁を横切る結合の増強につながる。こうしたゲートウェイのエネルギーは非系統的に生じ、一貫性のない質量依存性をもたらす。また、ゲートウェイは、基底状態異性化を加速し、反応障壁を通る抜け道としての役割を果たす。この単純なモデルは、凝縮相化学におけるトンネリングを説明する手段をもたらすとともに、重原子トンネリングが一般的な想定よりも重要になる可能性を示している。

