微生物学:ウイルスのキャプシドタンパク質による細菌の自然免疫系の直接活性化
Nature 612, 7938 doi: 10.1038/s41586-022-05444-z
細菌は、バクテリオファージの絶え間ない猛攻撃から身を守るために、多様な免疫機構を進化させてきた。真核生物の自然免疫系が病原体関連分子パターン(PAMP)を介して外来からの侵入者を感知する仕組みと同様に、多くの細菌免疫系がバクテリオファージ感染に応答して活性化されるにはファージ特異的な引き金が必要である。しかし、そのような引き金のアイデンティティーや感知機構はほとんど分かっていない。今回我々は、大腸菌(Escherichia coli)がさまざまなファージを防ぐための融合型毒素–抗毒素系であるCapRelSJ46の抗ファージ機能を特定して調べた。我々は、遺伝学的、生化学的、構造的な解析を用いて、CapRelSJ46のC末端ドメインが毒性のあるN末端領域を調節しており、抗毒素とファージ感染センサーの両方として機能することを実証する。特定のファージに感染した後、新たに合成された主要キャプシドタンパク質がCapRelSJ46のC末端ドメインに直接結合して自己阻害を解除し、これによって毒素ドメインがtRNAをピロリン酸化できるようになり、このため翻訳が阻止されてウイルス感染が抑制される。まとめると我々の結果は、細菌免疫系がファージの保存された必須構成要素を直接感知する分子機構を明らかにしていて、これは細菌での毒素–抗毒素を介した自然免疫がPAMP様の感知モデルであることを示唆している。CapRelとファージにコードされたその引き金が「赤の女王競争」を繰り広げるという証拠が示され、ファージと細菌の間の激しい共進化の戦いにおける新たな段階が明らかになった。一部の真核生物ウイルスのキャプシドタンパク質が哺乳類宿主において自然免疫シグナル伝達を刺激することが知られていることを考えると、我々の結果は免疫の深く保存された一面を明らかにしている。

